大森どんぐり動物病院

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FIP治療

1.猫伝染性腹膜炎(FIP: Feline Infectious Peritonitis)とは?

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、世界中で発生している猫のウイルス性疾患です。 診断には複雑な面があるこの病、今までは発症した場合、致命的だったのですが、ここ数年で新しい治療法が見つかり大幅に進歩してきました。いくつかの抗ウイルス薬が伝染性腹膜炎(FIP)の治療に効果的であることが示されています。愛猫が伝染性腹膜炎(FIP)と診断された場合は、獣医師に相談して治療法について話し合うことができるようになりました。

2.新しい治療薬について

前述のように数年前までは猫伝染性腹膜炎(FIP)は発症猫のほとんどにとって致命的な病気でした。従来の治療は抗炎症療法、点滴などの対症療法やインターフェロン療法が主体で、それでも予後の改善は少しずつ得られていました。しかし、本格的な発症に対しての効果は乏しく、致死的な経過を取ることが多い状況でした。ここ数年間で考え方は大きく変わり、新しい抗ウイルス薬が伝染性腹膜炎(FIP)の治療に効果的であることがわかってきました。

●新しい抗ウイルス薬

当院でも注射薬の在庫はありますので、すぐに治療に入ることはできます。
従来、FIPが発症した場合の治療はなかなか難しいことが多かったのですが、2019年、Dr. Pedersonにより『GS−441524』という薬剤がFIPの治療に極めて有効であることが報告されました。
2023年7月の英国および豪州からの報告においても高い効果が得られていることが示されています。

 Thirty-two cats with effusive or non-effusive feline infectious peritonitis treated with a combination of remdesivir and GS-441524(Jodie Green, J Vet Intern Med, 2023)
生存率:81%(※治療開始後3日以内の死亡を含まない場合、生存率:92%)

Outcomes of treatment of cats with feline infectious peritonitis using parenterally administered remdesivir, with or without transition to orally administered GS-441524(Sally J. Coggins, J Vet Intern Med, 2023)
生存率:86%(※治療開始後2日以内の死亡を含まない場合、生存率:96%、再発率:12%)

2023年8月の国際猫医学会(ISFM)からの報告
Feline Infectious Peritonitis (FIP) (feline coronavirus)
においてもこの抗ウイルス薬を用いた治療プロトコールは効果が高いと紹介されています。効果が得られた際には注射薬から経口薬への切り換えも可能と紹介されています。
寛解率は 100%とは言い切れません。極度に重症の場合は命を救えない場合もあります。

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